Nightingale HOUSE
住まいを庭で分解し、再編成することで、たくさんの居場所を形作りながら環境に緩やかに開いていく。L型の平屋と2階建てが少しズレて噛み合い、その間に風が抜け、光が差し、緑の影が揺らめく。
春に鶯が鳴く、昭和50年代に開発された郊外の住宅地はシルバータウン化した時代を経て代替わりが進み、かつての活気を取り戻しつつある。周囲の環境に表の2つの庭と内側の3つの庭でつながる住宅である。
間口いっぱい迫り出した庇下の庭では近所の子供たちが遊び、DIYや薪作りスペースとなる。風を導く南角の庭は作物を育て、大阪空港、遠くに大阪都心部を望む。内側3つの庭は表の庭と内部をつなぐバッファーとなる。低く抑えた平屋屋根は外部の視線を遮りながら、庭を立体的につなぎ、環境を取り込むもう一つの庭となっている。これら6つの庭が住まいを緩やかに分節し、内外の環境を融和させていく。庭に面する壁が一つながりの空間を場として区切り、多面体の庭を生む。
それぞれの居場所は固有の庭の表情を持ちながら、他の居場所とつながる。庭と住空間は互いを織り込みながら全体をつなぎ、外部環境に開いていく。
鶯の家
2020
兵庫県
住宅
延床面積 131㎡
規模 地上2階
構造 木造
設計期間 2017.9-2019.2
施工期間 2019.10-2020.7
構造 柳室純構造設計
外構 三ツ葉Garden事務所