築70年経つ兵庫県にあるお寺の庫裏の再生である。裏山から切り出した木を運び、大工を中心に集落の人が集まってくみ上げ、70年の時が重ねられた。その間大小様々な手が加えられ、近現代が雑多に散らばるよくあるパッチワーク的空間が出来上がっていた。
その状況を俯瞰的に見ながら、一つ一つのディテールをリサーチし、時間をめくっていく。一つ一つどの時間までめくるのか、新しい時間をどのように重ねるのかを注意深く観察しながら全体を重ね合わせていく。古いものをそのまま、時には削り出すように、これを基点に周辺を発掘するかのように関係づけながら、新しいものを重ね合わせ、領域をつなげていく。
そのようにして古いものと少し古いもの、もっと古いもの、新しいものといった幾つもの時間軸が全体に散りばめられ、混然一体となる新たなパッチワーク的な未完の環境を生み出した。そして一時的に止まっていた時間はまた積み重ねられていく。